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医療の教育インフラを創造し患者さんが笑顔になる社会を実現する

佐藤 和弘 /  Kazuhiro Sato ( 第2期 )
医療教育団体めでぃぷろ!  

事業概要

【ミッション/ビジョン】
めでぃぷろ!は、問題解決型教育という医療の教育インフラを創造し、キラキラした医療従事者を増やすことで、患者さんが笑顔になる社会を実現します。

【事業内容】
めでぃぷろ!は、Medical Learning Produce事業として以下を行っています。

1. 独自の教育プログラム事業
特徴①:何を学ぶのか?
医療従事者が必要なスキルは医学だけではありません。患者さんにとって本当に大事なことはなにかを考える「ロジカルシンキング」や、身体を治すだけではなく心を癒すための「コミュニケーション」など、医療従事者として基本となるスキルを体系的に学びます。
特徴②:どう学ぶのか?
同じ内容でも、その学び方によって学習効果は大きく異なります。これまでの医療教育のような講義による「覚える」「教わる」教育ではなく、ケースに基づくディスカッションを通じた「自ら考え、他者と学び合う」教育を提供します。
特徴③:誰と学ぶのか?
さまざまな職種、分野、施設の医療従事者同士が共に学び合い、それぞれの知識、経験、スキルを共有することで、気づきと理解を促し、学びを最大化させます。

2. 他社とのコラボレーション事業
めでぃぷろ!の独自の教育メソッドに基づくラーニングプロデュースを背景に、他社とのコラボレーションによって医療の分野を超え、さまざまな学びの場を提供します。

コラボ:MLB48(Medical Learning Bar)「在宅医療における医療者−患者間のコミュニケーションギャップの解消」
1) MLB48のミッション
「医療にもっとつながりを!」をテーマに、対話の場を通じて、医療に関わる人々のミス・コミュニケーションを解消することを目的とした医療版ラーニング・バー(メディカル・ラーニング・バー)を運営するための組織です。

2) MLB48設立の経緯
神戸で在宅医療ネットワークを展開する医師から、医療版ラーニング・バーの協同設立の要請を受け、ちょうどめでぃぷろ!も3月よりラーニング・バーのエッセンスを取り入れたセミナー開催を予定していたことから、合意に至りました。

3) MLB48ボードメンバー
現在、医師4名、薬剤師、理学療法士、臨床工学技士2名等、計9名。
詳しくはコチラ→http://www.medi-pro.org/MLBmember.html

 

事業を始めたきっかけ

僕は、臨床工学技士として10年近く医療現場で過ごし、辛く苦しい思いをしている患者さんの姿をたくさんみてきました。そのなかで、医学のみでは解決できない問題を多く体験し、その限界を感じ続けていました。

臨床で働き始めて3年近くたった頃、ある患者さんの治療にあたっていました。その患者さんはもう意識がなく、生命維持管理装置によって命を長らえていました。その治療をやめることは、命をやめることです。僕は、医療従事者としての責務を全うするため、数日間泊まり込みで治療を行っていました。

そんなある日、看護師長に呼ばれ、その方は僕にこう言ったのです。

「あなたが○○さん(患者さん)なら、延命治療を続けてほしいの?」

つまり、治療を止めるべきだということです。僕は、医療従事者ならば命を救うのをやめるべきではないと主張しました。

僕らに突きつけられたこの問題は、医学ではなく、人としてどうするべきかが問われたものでした。結局、その患者さんは亡くなりましたが、それから医学の限界を数えきれないほど体験することになり、僕は次第に医学以外に必要なことを探し続けるようになりました。

そして医療の外をみようと思い、出会ったのが、グロービス経営大学院でした。僕は、論理思考などの「考える教育」、さまざまな属性の受講生が学び合う教育、そして自分はなんのために働いているのかを問い続ける志を醸成する教育に衝撃を受けました。そして、ある日ふとこう思いました。

「こんな学校が医療にあったらいいな。」

そう、このような学校で学んだキラキラした医療従事者が、これからの医療をつくり、患者さんを笑顔にするんだ!そんな学校をつくろう!

これが、めでぃぷろ!を設立するに至った経緯です。

ひとことメッセージ

例えばミス・コミュニケーション。現在の医療現場では、医療従事者と患者さんとのミス・コミュニケーションが起こっています。ある日、患者さんは僕にこう言いました。

「相談できるスタッフさんがいないの。私、どうすればいいの?」

僕はショックでした。僕らは患者さんとコミュニケーションがとれていると思っていた。しかし、それは「つもり」でした。そしてその「つもり」が患者さんを苦しめていたのです。

医学以外にも僕ら医療従事者が学ぶべきことがあり、それが患者さんの生活の質に大きく影響しています。したがって、そのような教育を医療の新しいインフラにしていくことは、身体を治すだけでなく心を癒す医療を実現するために最も重要な取り組みであり、患者さんが笑顔になる社会をつくるために必要不可欠であると考えます。

そのために、みなさんには3つのお願いがあります。

①知ってください:これからの医療には医学以外にも必要な教育があること、それがないがゆえに、患者さんが苦しんでいる事実を知ってください。
②伝えてください:そしてこの事実を、周りの人に伝えてください。特に医療関係者の方々に、めでぃぷろ!のことを知ってもらい、一緒に活動してもらえるように、想いを届けてください。
③参加してください:MLBのような医療従事者との対話の場に参加してください。そして、医療に求めることを語ってください。

 

活動レポート

日本最大の看護師・看護学生のコミュニティサイト「ナース専科コミュニティ」にめでぃぷろ!スクールの参加リポート連載スタート!


ナース専科コミュニティ
めでぃぷろ!スクール2011年6月期「考える力基礎」を受講した看護師さんの参加リポートの連載がスタートしました。

【第1回前編「自分の考え方を知る」】 http://p.tl/0dN1

人は思い込みの生き物です。だからこそ、自分が普段どういう考え方のクセを持っているのかを理解しておくことは非常に重要です。
第1部では、演習と理論を通じて、自分の考え方(思考のクセ)を見つめ直していきます。

【第1回後編「フレームワークで考える」】 http://p.tl/WoJv

「良い医療とは何ですか?」と聞かれたとき、みなさんそれぞれに思い描く良い医療があると思います。ただ、それで本当に良い医療をちゃんと説明しきれてい るのかと問われると、なかなか自信をもって言い切れないのではないでしょうか。フレームワーク(枠組み)で考えるとは、このような、モノゴトをヌケ・モレ なく多くの視点で見るための考えるツールです。
第2部では医療現場における身近な例を出しながらフレームワークという考え方を理解していきます。また後半では、事実をもとにした「ケース=事例」を用いて、フレームワークの理解をさらに深めていきます。


考える力基礎って?】

考える力とは、モノゴトを「正しく見て」「正しく判断し」「正しく決める」こと。

「思い込みで判断してしまう」「どうしても視野が狭くなってしまう」「相手に自分の意見が伝わらない」。
こんなことで悩んでいませんか?それは、私たちがこれまで受けてきた日本の教育において、モノゴトを客観的にとらえる考え方を養う機会がなかったからで す。考える力とは、「客観的にモノゴトを理解できる」「いろいろな視点でみることができる」「相手の理解・納得を得られる」ために、モノゴトを「正しく見 て」「正しく判断し」「正しく決める」考え方です。
「考える力基礎」の科目では、参加者同士のディスカッションによって考える力を養っていきます。その中で、さまざまな経験をみんなで共有し、多様な意見に触れていくことで主体的に学んでいきます。
---------------------------------------------------------------------------------【2011/9】
【院内研修の風景】

院内研修の実施

当団体は3つの事業でノン・テクニカルスキル教育を提供します。

①スクール事業
②院内研修事業
③研修支援事業

5月には、当団体初の院内研修事業を実施しました。

「内容」
考える力基礎「自分の考え方を知る」「問題を発見する考え方」「フレームワークで考える」

「参加者満足度」
4.1(5点満点)

「アンケートによる参加者の成長度」

薬剤師 30代 男性
【受講前】いろいろな視点で物事をみることができていなかった。考えも一方向でしか考えていないことが多かった
【受講後】物事に対して色々な見方ができるようになった

薬剤師 20代 女性
【受講前】漠然と「うまくいかないな・・・」と悩んだり、偏った視点で思い詰めていたと思う
【受講後】「こうありたい」姿を思い浮かべる、という前向きな思考で、問題点を認識できるようになった。練習を繰り返すことの重要さを実感した

薬剤師 40代 女性
【受講前】一つの問題にとらわれ過ぎたり、答えを出すことをよしとしていた。柔軟性がなかった
【受講後】一つの事例を一方向からとらえるのではなく、グループワークで他の意見を聞いたり、トップダウン型問題発見の考え方を学べたことで、自分も変わりたいと思えた

「学んだことを実務へどのように生かせるか」

薬剤師 20代 女性
偏った視点や自分の考え方にはクセがあるという自覚ができたので、患者さんと話をするとき、自分の思い込みを話さないよう注意できそう

薬剤師 20代 男性
同じ職場の仲間との意見交換や全く異なった職場の方々と話をする際に、自分の意見に客観性を持てるようになりそう。日頃気づけなかった「当たり前」への疑問をとらえ、それが本当に正しいのかどうかを考えるという行動に生かせそう

薬剤師 20代 男性
色んな問題が起きた時、迅速に、簡単にまとめることができ、色んな想定ができるため、考えたパターンの分だけ対策が練れる。そして、冷静に対応できる

ご参加いただいた皆様、本当に、ありがとうございました。

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【事業カテゴリ】
2期生医療・福祉・健康就職・就労支援・キャリア教育

【団体名/事業名】
医療教育団体めでぃぷろ!

【活動地域】
関西圏

【ウェブサイト】
http://www.medi-pro.org

【プロフィール】
□ 1980年生まれ。
□ 高校の試験で学年最下位をとる。
□ 3年課程の医療系専門学校を4年で卒業する。
□ 病院就職にことごとく落ちる。
しかし、
□ 病院で臨床工学技士として働くうち、患者さんの命の重みと、その命を助ける医療のすばらしさ、そして命を助けるためにはもっと医学を学ぶ必要があることを実感し、学びの虫になる。
□ 医療系学会や研究会で講演・発表を行う。また職能団体にコミットし、2つの学術委員会で委員長、副委員長を兼任。
□ 複数の病院やクリニックに勤務するうちに、医学の限界を痛感。
□ 2008年から問題解決型教育の普及のため、講演・発表を行う。
□ 2009年にグロービス経営大学院に入学、その教育理念や教育内容に衝撃を受ける。この出会いから、「医療の教育インフラを創造し患者さんが笑顔になる社会を実現する」というミッションが生まれる。

【影響を受けたもの】
これまで出会った患者さん、グロービス経営大学院、ドラマ「1リットルの涙」、バガボンド、井上雄彦

【座右の銘】
やるべき時に、やるべき場所にいて、やるべきことをやる

【オフの過ごし方】
自分の感性に素直になる、思ったことを口に出してみる、カフェめぐり、本屋、DVD