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職人、設計者、住まい手が、ともにつくり育てる住まいづくりの機会を創出します。

河野 直 /  Nao Kouno ( 第2期 )
つみき設計施工社  

事業概要

▷わたしたちが目指す社会
1.人を思い、心を込めて、ものをつくる大工職人の文化、技術、思いが伝搬し、住まい手と共有される社会。
2.住まい手による主体的なものづくりを通して生まれる、家族間や地域の人々の交流、学びの場。

1.「ともにつくる」工務店のモデルの確立
 「ともにつくる」とは、設計施工の全てのプロセスを通して、設計者、大工、そして住まい手が、工房と現場のふたつの場所を共有し、家や店を一丸となってつくる、住まい手参加型の設計施工事業である。
1-1. 現場を共有する
 建築現場において、設計者、技術を持った職人のもと、住まい手自身も施工工程の一部に加わる。住まい手は、自分たちの家/店が、どんな人によって、何をつかって、どう創られているかを把握する。そうすることで、本来の意味での「透明性」「安心」、そして家/店づくりの「楽しさ、充実感」、それらを通しての「家族や地域の交流の場」、施工の一部を自ら行うことによる「コストダウン」を実現する。住まい手は、設計施工を業者に丸投げするのではなく、必要な分のサポートを受け、それに対するフィー(人工)を支払う。
1-2.工房を共有する
 これまで、職人の加工場として閉じられてきた工房を地域に開く。この事業を通して、閉じられてきたこのリソースを、まちの図工室のように開くことで、ものづくりを通した「地域交流の拠点」、大工道具を普段触ることのない子供たちを中心に対象とした「ものづくり教育の場」を創出する。
2.「ともにつくる」工務店のモデルの普及
2-1.モデル構築、運動プロセス(2010-)
ともにつくる設計施工の事例を重ね、モデルのブラッシュアップを行う。研究会を立ち上げ、理論と実践のフィードバックを行う。
2-2.共有プロセス(2011-)
ともにつくる設計施工事例の規模の拡大とともに、より多くの職人さんに、ともにつくるモデルでの施工への参加機会(プロジェクト単位の雇用)を創出します。ともにつくるモデルが持つ、「透明性」「交流」といった特性をプロジェクトを通してより多くの職人さんと共有することを目指します。
2-3.普及プロセス(2013-)
共有プロセスでプロジェクトを共有した職人さんに対して、導入コンサルティングを行い、ともにつくるモデルの導入と、設計者とのマッチングを行います。

 

事業を始めたきっかけ

○直面したあまりに美しい大工技術と、それを使えない現実 
京都の設計事務所で携わった町家改修現場では、宮大工であり、共同創業者である相良昌義さんと多くの時間を施工現場で共有した。彼をはじめとする職人の手に染み付いた技術の美しさに感銘を受けると同時に、わたしが目の当たりにした手仕事が揮ける場面は極めて稀である事を知った。「技術」とは、木を通して住まいや人と徹底的に向き合うことであり、そのただ純粋な思いが輝けない現実に大きな矛盾を感じた。
○ 設計プロセスの共有モデルを経ての確信
二年前、ペルーの二世帯住宅の設計の際に、住まい手家族全員と設計者が一丸となって住まいの設計を行う共同設計手法を構築し実践した。その設計プロセスは、今でも長くつづく彼らと私たちの深い信頼関係を生んだ。こんな素晴らしい「家づくり」という一生に何度とない体験を、建築専門家だけに閉じてはいけないと感じた。設計段階も含め、家づくりを住まい手と共有することの可能性、意義を強く感じた。
1-6. 本当に良い家づくりは、住まい手とつくり手の両方が幸せを感じられるプロセス
家づくりのあらゆるプロセス(設計から施工)を、住まい手に開くことで、住まい手とつくり手の両方にとって幸せな家づくりの仕組みをつくりたいと思った。
「人を思い、心をこめて家/店をつくる」 「ともにつくった家/店を、心をこめて使う」 
私にとって心から信じられるこの命題が、消費者の選択肢に当然に上がる社会をつくりたい。
今私の前にいる目の輝く人たちが、そして彼らと同じような思いをもったたくさんの人たちが、家/店づくりを通した人々との交流の中で心から喜びを感じられる社会をつくりたい。

ひとことメッセージ

【住まい手】は、住みやすく、いつまでも愛着のわく住まいを、つくり住むことを願います。
【設計者】は、それぞれの住まい手に合う住まいをデザインし、様々な人たちの力を借りて実現するために、時間を惜しみません。
【職人】は、自らの手でつくった住まいがいつまでも住まい手を守り続けるものであるよう、命をかけて、住まいづくりを手がけます。
良い住まいをつくること。
本当は、三人の思いは、同じです。同じ思いのもと、異なる才能や得意分野を持つ三人は、補完し合いながら、手を取り合うことができます。
しかし、現実では過多な競争や非合理的な分業を背景に、三人が手を取り合うためには、あまりにたくさんの不透明、矛盾が存在しています。良い住まいをつくるため手を取り合うためには、手を取り合う相手のことを十分に知る事ができ、思いや技術を共有できる,透明で無駄のない環境が必要です。これからの社会をつくる、わたしたち世代が透明に変わることで、三者が手を取り合い、つくる喜びを共有することを始めることができます。
良い住まいをつくること。
住まい手、設計者、職人が手を取り合える仕組みをつくること。
わたしたちは、そのために、つくる仕組み、コミュニケーション、フィーの在り方、作り手の労働条件の問題を、三者の枠を越えて、実態を明らかにし、新たなモデルを社会に提案、普及することに努めます。

 

活動レポート

複数の「ともにつくる」設計施工プロジェクトが同時進行しています。
そのうちのいくつかを、ここでも紹介します☆

○ともにつくる地域施設
・こころとことばの教室「こっこ」 -浦安

プロジェクトの詳細:http://ameblo.jp/qproject/entry-10820274098.html

○ともにつくる住まい/店舗 ・小さなお菓子屋さん ボンボンシエル -中目黒

プロジェクトの詳細:http://ameblo.jp/qproject/theme-10033506297.html

○ともにつくる木のこもの
・新郎新婦とともにつくる木のこもの

プロジェクト詳細: http://ameblo.jp/qproject/theme-10036555409.html

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【事業カテゴリ】
2期生地域活性・街づくり文化・伝統・芸術・学術

【団体名/事業名】
つみき設計施工社

【活動地域】
千葉、東京

【ウェブサイト】
http://tsumiki.main.jp

【ブログ】
http://ameblo.jp/qproject/

【プロフィール】
スイスでの建築設計事務所での勤務後、京都大学工学研究科建築学専攻修士課程修了。大学学部時代に勤めた町家改修現場で、宮大工である相良昌義と出会い、その腕の染み付いた技術の美しさに感銘を受ける。大学院では、藤田桃子とともに「住まい手参加型設計プロセス」を提唱する等、京都大学総長賞をはじめ複数の賞を受ける。2010年、藤田桃子、相良昌義、相良昌弘 - 設計者二人、職人二人のメンバーで、「職人」、「設計者」、「住まい手」の三者によって、家/店/ものづくりの喜びを共有できるプロセスモデルを構築し普及することをミッションに、つみき設計施工社創業へ動き出しました。

【影響を受けたもの】
建築生産論、両親、クリストフ・ゴールドシュミッド

【座右の銘】
今日、今が確かなら、万事快調よ

【オフの過ごし方】
ビール、山