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日本のメンタルヘルスケアの普及と向上を目指すプロジェクト

河瀬 さやか /  Sayaka Kawase ( 第2期 )
(株)Piece to Peace Project  

事業概要

「日本人の心、大丈夫?」ロサンゼルスで開業後、日本人駐在員、そのご家族、留学生のご相談を聞く機会が増えるにつれ、TVや新聞で話を聞くうつの増加、不登校、引きこもりといった日本の社会問題が、海を越えても存在する現実を目の当たりにしました。そして、東日本大震災。メンタルヘルスフィールドにいる日本人として、日本のために何かしなくては。その思いで立ちあげたのがPiece to Peace Projectです。

Piece to Peace Projectの掲げるミッションは『メンタルヘルスケアの架け橋』。これには次の3つの目標が含まれています。

1. Bridge for Effectiveness:効果あるサービスの架け橋
「治すカウンセリング」をモットーに、クオリティの高い効果的なメンタルヘルスサービスを提供し続けること
2. Bridge for Improvement:成長の架け橋
より多くの方々に、より効果的な心理カウンセリングの情報を、よりわかりやすい形でお伝えしていくこと
3. Bridge for Network:ネットワークの架け橋
心の仕事に携わるプロの方々やそのフィールドを志す方達とのネットワークを国際的レベルで広げていくこと

事業内容は、(1)メンタルヘルスケアの普及と(2)向上の2本柱で構成されています。普及の柱では、オンライン上のカウンセリングルーム、子どもの心を伸ばす教育プログラムの提供を。向上の柱では、心理職のプロを育てる教育プログラムの提供を行っています。最終的には、当プロジェクトで育成した心理職の方々が、当プロジェクトが運営するサービスを提供する、という一連の流れを生み出したいと考えています。Piece(かけら)を集めてPeace(平和)へつなぐ。それがPiece to Peace Projectの願いです。

 

事業を始めたきっかけ

「心の悩みは誰にでも起こりえるが、誰にも改善可能である」このメッセージを伝えることが、メンタルヘルスの専門家としての役目だと考えています。10年以上の臨床経験を通して、心理カウンセリングが非常に効果の高いサービスであることを実感しています。問題を早期発見し、適切な対応を得られれば、生きていれば誰でも一度は直面するであろう精神的な痛みを克服することは可能なのです。現時点で日本のメンタルヘルスフィールドが抱えている問題は、スキルの高い専門家の数が少ないこと、そうした専門家を支えるシステムが整っていないこと、その結果ニーズのある人がクオリティの高いサービスへアクセスしづらいことです。つまり、心理的な問題は無視できないほど深刻化しているにもかかわらず、その受け皿があまりにも小さく、頼りないという現状にあります。私が思い描く理想の日本とは、誰もが必要なときに適切な心のケアを手に入れることが出来、早く元気を取り戻すことでエネルギーあふれる国です。

ひとことメッセージ

Piece(かけら)を集めてPeace(平和)に繋げる。そんな思いでこのプロジェクトをスタートしました。とにかく行動に移していくこと。その積み重ねが大切だと考えます。

 

活動レポート

振り返ってみると、あっという間の1年でした。数字的には想像をはるかに下回る結果に終わりましたが、紆余曲折あり、まだスタートできていないこともたくさんありながら、当初のアイディアが磨かれてきたことは実感します。ETICの皆さんやメンターの方々との出会いはもちろんのこと、本当にたくさんの素晴らしい方々との縁に恵まれた一年でした。確実に繋がり始めているネットワークへの確信は、予想以上のものでした。こうした人との出会いが一番の財産だと思っていますので、今後の事業の展開も十分可能であるという自信も得ました。この自信は、ETICさんなしでは絶対に得られなかったものです。心から感謝しています。ETICを通して、本当に様々な方々のパッションや、取り組みや、こだわりや、アイディアと出会うことが出来、毎回新鮮な頭のマッサージをしていただきました。これだけのエネルギーがあり、優秀な方がいて、それを暖かくサポートしてくださる人がいる日本って、未来は明るいはず!と信じています。皆さんで楽しく、エネルギッシュな国にしていきましょう~。

---------------------------------------------------------------------------------【2012/02】

もともと想定外だった被災地支援活動が非常に忙しかった前半6ヶ月でした。が、この活動も12月8日を持って一旦終了。これまでに20名の心理職をアメリカから派遣し、1500名以上の被災地の方々、支援者の方々に心のケアを提供することができました!こちらの活動に関しては、企画・計画通りに全てが進み、もちろん難しいことはたくさんありましたが、予想以上の成果を収める形で終了することができ、たくさんの方々への感謝の気持ちでいっぱいです。この経験から「日本でのメンタルヘルスケアのあり方」を学ぶことは非常に多く、これからの活動に大きく役立てることが出来ると思っています。それ以外の活動では、EAPはゆっくりゆっくりとではありますが、理想とする「心と体のトータルケア」を目指す、女性や家族のニーズにフォーカスをあてた新しい形でのサービスを提供できるよう、企画・実施に向けて動いています。心理学セミナーや子どもに関するセミナーも非常によい反響があり、これをより広くビジネスとして広げていくための活動に力を入れていきます。
---------------------------------------------------------------------------------【2011/11】

 

6月に入ってから、いろいろな動きがありました。様々な出会いを通して、まずは小さな形での心理コンサルテーション的なサービス(セミナー)をトライアルで提供することを始めています。

現在、NPO団体も含めると3、4社にこうしたサービスを提供することになっています。そこから、Piece to Peaceが薦めていきたいPEIC(子どものプログラム)やカウンセリングを少しずつ理解していただけるのではないかと考えています。

加えて、LOHAS社とは、両者の特色を生かした(LOHASはヨガスタジオ経営をしています)心と体のトータルケアをめざしたEAP作りを始めています。治療よりも予防にフォーカスをあて、より多くの方に使ってもらえるEAP作りを考えています。女性特有の問題(心と体)にフォーカスをあてたプログラムも企画しています。

加えて、当初の予定にはなかった東日本大災害の支援活動にも積極的に参加しています。心のケアに携わるものとして、やはり何かせずにはいられず、現在アメリカに住む日本人心理職のプロを全米でリクルートし、11月中ごろまで約30名を石巻市に派遣するプロジェクトを7月からスタートしました。このプロジェクトは、日本プライマリ・ケア医師学会との連携があって実現しました。私自身も、7月に石巻に出向き、9月と10月にまた戻る予定でいます。こちらの活動を通して、Piece to Peaceが目指している米国で使われている臨床のスキルや人材が実際に日本でのサービス提供という形で実現されています。

---------------------------------------------------------------------------------【2011/7】

東日本災害後、日本の帰国予定が延びたことで活動への取り組みが遅れました。

ただ、在住中のLA市内で「災害後のこころのケア」と題し、計3回の無料セミナーを行いました。参加者は100名弱。地元のメディアでも新聞での連載などを含め大きく取り上げられました。

この働きを通して、40名ほどのLA在住のメンタルヘルスケアに携わる日本人たちが集まり、現在NPO設立に向けて積極的に活動を進めています。この取り組みをスタートから企画・運営してきたことで、非常に強いネットワークが生まれ、今後のPiece to Peaceの日本での活動へのサポートや提携、人材の確保などが可能になりました。

---------------------------------------------------------------------------------【2011/4】

【事業カテゴリ】
2期生医療・福祉・健康教育・こどもの健全育成

【団体名/事業名】
(株)Piece to Peace Project

【活動地域】
東京・LA

【ウェブサイト】
http://www.piecetopeaceproject.com/

【プロフィール】
心理の職業に就きたくて、日本を飛び出したのが19年前。修士号をとった後、03年にCA州の臨床士ライセンスを取得し、独立。LA市内で2つのオフィスを構え開業していました。その当時から、心理やカウンセリングについてより一般の方々に知ってもらいたいと、コラム掲載、ラジオ番組担当、講演会、大学院での講義など積極的に活動を続けてきました。09年ごろから日本での活動を考え始め、一旦クリニック業務をHoldし、11年に帰国。震災後の6月に米国でNPO法人Kokoro Wellness Networkを立ち上げ、7月から12月までの5ヶ月間、石巻を中心に心のケアの提供しました。サービスを受けた人の総計は1900人を超えます。11年8月には(株)Piece to Peace Projectを立ち上げ、主に教育プログラムの企画、運営を行っています。その他、東京女子医大、国立精神神経医療研究センターでの仕事にも携わっており、スーパーバイザーレベルの臨床士を育成するプロジェクトに関わっています。

【影響を受けたもの】
稲盛和夫氏

【座右の銘】
闇で闇を追い払うことはできない。光のみがそれを成し得る。
(マーティン・ルーサー・キング・ジュニア牧師)

【オフの過ごし方】
ワインと料理+旅行