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漁師自らがNPOに参画し魚の価値を高めることで青森を元気に!

野呂 英樹 /  Hideki Noro ( 第2期 )
NPO法人 Fair Trade Fishery.   

事業概要

この事業は、水産業で青森県を活性化しようとするものです。
青森県は周りを海に囲まれ、好漁場が多くある地域でありながら、知名度的にはあまり高いとは言えません。
また、青森県の大部分の漁村地域は、大消費市場から遠いという地理的要因や、ロット(数量・大きさ)がまとまらないなどから、魚の単価が上がりにくい状況にあります。
単価が安いので、漁師は収入を上げようと、他人に負けないようにこぞって量を求めます。「多く獲ること」がひいては資源全体の減少を招きます。
水産資源は石油や天然ガスなどの地下資源と違い、ある一定の資源を残すと、シーズン毎に再生産を行い、数を増やすという再生産能力があります。しかし、親魚の乱獲は、再生産を阻害し、資源量の減少にもつながります。

この悪循環を打破するためには、少しでも魚の単価を上げ、漁師の収入を増やすことが必要だと思われます。


魚は一次処理を適切にすることで、味が格段に違ってくるものであり、このことを熟知し、実践している漁師や業者の方は多くありません。
今まで値段の付かなかった魚や、傷物であるがために流通に乗らなかった魚などは、適切な一次処理と迅速な輸送手段によって、東京などの輸送時間のかかる大消費市場でも、産地で食べる美味しさが味わえます。

そこで、新しい販売経路の提案をします。
既存の流通経路を否定するのではなく、新たに流通経路を開拓することが重要だと考えています。

この事業は、おいしい魚を届けることが大前提です。
今まで漁師は、網にかかった魚を箱詰めして終わりでしたが、『いいものを出荷すれば、収入に反映する!』といった、モチベーションの向上・維持を保つようなきっかけになればと思います。

 

事業を始めたきっかけ

『さっきまで泳いでいた魚は、当然うまい!』
『テレビのレポーターは「獲れたてが一番!」』

小学生の頃、毎年夏は海にキャンプに行き、モリで突いた魚をその場で捌き、刺身で食べたときがあります。しょうゆも付けず、海水で洗って食べたのですが、魚は生ぬるく、食感も悪く、正直まずかった記憶があります。
子供ながら疑問に思いつつも、そのときは深く考えていなかったのですが、大学に進み、魚のことを学ぶうちに、その疑問は解決しました。

必ずしも「鮮度がいい」=「美味しい」ということではないのです。
このことを知っている人は多くないのではと思い始めました。
活魚水槽に泳いでいる魚は美味しいものだと勘違いしている人たちが大部分ではないでしょうか。

「鮮度がいい」=「美味しい」とは限らないのです。

また、漁師は少量しか獲れなかったものや傷物など、流通に乗らなかったがために魚を持て余している状況になることもあります。漁師にとって、価値のない魚が、東京などの都会に住む人にとっては、非常に魅力あるものだと思います。

生産者である漁師の経済事情を改善し、青森県の基幹産業である水産業を起爆剤として、流通・加工をはじめ運送業など関連する産業を活性化していきたいと考えています。

ひとことメッセージ

『国民の水産物の安定供給や地域経済を支えてきた我が国の漁業・漁村は、資源の減少や魚価の低迷など様々な問題に直面している。』(平成21年度水産白書)                 

今日の水産業や漁村地域が抱える問題は魚価の低迷をはじめ、高齢化や後継者不足などにも悩まされています。これらの問題は、複合的に絡んでいるものであり、ひとつを解決しようとしても、ほかの問題が出てきます。

日本には約4000種の魚が生息していますが、水揚げされているのは約400種と言われています。有名な魚から地方でしか食べられないものまでいろいろあります。地方ならではの食べ方、地方だけでしか食べられていない魚もあります。新しく何かを獲るのではなく、今まであるものを発信していき、消費者と生産者の距離を縮めたいと考えています。                                      
水産業はこのままでいいのか、ということを問いかけ、青森県内だけではなく、日本各地に存在する漁村のあり方について見直すとともに、魚食文化の発展につなげていきたいと考えています。

 

活動レポート

現在のところ、活動レポートはありません。

【事業カテゴリ】
2期生ライフスタイル・食地域活性・街づくり

【団体名/事業名】
NPO法人 Fair Trade Fishery. 

【活動地域】
青森県・東京都

【ウェブサイト】
http://www.npo-ftf.jp/

【プロフィール】
小学校で釣りに目覚め、海というものに魅力を感じはじめる。中学・高校では白球を追いかける日々を過ごし、高校卒業後は東京水産大学に入学。
東京海洋大学大学院在籍中に海洋生物資源管理者、おさかなマイスターの資格を取得。
青森を離れて六年間東京で過ごし、青森県を元気にするためには一次産業の活性化が不可欠であることを再認識する。何とか青森を元気にできないものか日々構想を練る毎日です。

【影響を受けたもの】
今までの人生で出会った人やもの。

【座右の銘】
常に向上心

【オフの過ごし方】
趣味は釣り、野球、キックボクシング、サーフィン、料理、旅行など。オフは活動してます!