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食でつながる、都市と地域のコミュニティーデザイン

中山 晴奈 /  Haruna Nakayama ( 第1期 )
フードデザイナーズネットワーク  

事業概要

フードデザイナーの必要性 ~クロス・セクターによる食の問題の解決~
わたしたちのライフスタイルが多様になればなるほど、食の問題は生まれます。農業、こどもの食、栄養、食料自給率、偏った知識による現代の栄養失調、環境問題による農作物の不作・高騰… あらゆる専門家が問題に取り組み解決を試みても、解決が難しいのはなぜでしょうか。
食の問題は、専門家一人の力で解決しようとするのではなく、関わり合うすべての人が意識的に取り組むことが必然です。そのためには、様々な専門家が互いの領域を認め合い、消費者を含めて解決まで恊働するためのコーディネーター、すなわちフードデザイナーが必要であるとわたしたちは考えます。

フードは風土?コミュニティに必要なのは外からの追い風
風と土と書く「風土」という言葉のように、地域をつくるには、その土地を静かに守る土の存在と、土地から土地へと渡り、つないでいく風の存在が必要不可欠であるといわれます。
その土地にとどまっていては見えてこないその土地の良さや特徴、そして問題を、外部から食を通して見い出し、埋もれている土地のアイデンティティを掘り起こす役割を、フードデザイナーは担います。

地域(生産者)と都市部(消費者)相互に起こすインパクト
都市部と農村部をつなぐことで、生産者と消費者をつなぎ、食の問題解決のきっかけとなるソーシャルキャピタルの基盤を強化する「地域支援事業」、また、都市部においては食の可能性でもある豊かさを作り出す力で、個人から家族、社会全体へ豊かさへのまなびを普及する「フードラーニングネットワーク構築事業」の2つの事業を軸に、複合的に起こっている食の社会問題解決の糸口をみつけます。

フードデザイナーのネットワーク化により加速する地域活性化
フードデザイナーズネットワークは、地域で食を通じたデザインによって、人や町を元気にしていくフードデザイナーたちを支援します。地域で抱えている問題、成功例をネットワーク内でシェアすることにより、全国の地域への取り組みのクオリティのボトムアップを図り、フードデザイナーの役割を明確化します。これは積極的に地域を活動の場にし、都市部を巻き込むことができる人材を育成することにも繋がり、次世代のフードデザイナーへ活動の場を創出し、人と街の活性化に繋げ、 これからの日本社会に長期にわたって大きな変革をもたらす循環を生み出します。

 

事業を始めたきっかけ

長野や山梨といった東京近郊の農家を訪ねると、都市との生活とは異なった本質的な豊かさや、食べもののおいしさを感じます。反面、農産物の低価格化、後継者不足、地域の自信喪失なと、様々な問題を抱えていることを目の当たりにすることも多々あります。

生産者から消費者へと 強制的に流れていく一方通行的な流通を打破し、生産者、消費者ともに正の循環ともいえる有機的な関わり方を起こすことが必要ななかで、私たちは何をすべきなのか。

一方で都市部で数多く行われているこどもの食育講座は、政策的な視点の消費者への押しつけだったり、単に子ども向けの料理教室を食育と称する風潮があり、社会問題の根本的解決にはなっていません。

食という社会課題へのアプローチには、個人のライフスタイルに基づき、自分の答えを見つけてゆくプロセス発見が必要で、特に食育やワークショップに慣れていない、低所得者層の子どもにリーチしなくてはいけません。またこういった活動に関わるきっかけをこどもに与える大人も重要なアプローチ層です。

一方的な「教育」ではなく、生産地と消費者が総合にかかわり合う、良質な「まなび」のサイクルをつなぎ、その機会に多くの人がリーチで切るような社会デザインが必要不可欠であると考えています。

ひとことメッセージ

フードデザイナーズネットワークでは、2012年5月より、食をキーワードにさまざまな領域で活動している方をお招きして、隔月でトークイベントを開催しています。料理や地域活性に限らず、医療、福祉、教育、IT、エネルギー、バイオテクノロジー、エンターテイメント、国際交流、文化、芸術等さまざまなプロフェッショナルをつなぎ、一人ではできないインパクを創出するきっかけづくりを行っていきます。

 

活動レポート

【ケータリングの繁忙期】
12月は忘年会、クリスマスパーティーなどケータリングの繁忙期だったために、新規事業についてはダイナミックな動きができなかった。
逆にケータリング事業は収入の基盤を作ることができるため、新規事業にうまく取り込んでいきたいと思えるようになっている。

【よろず相談所】
12月6日に石川治江さんのよろず相談所に参加。他のメンバーなどとも交流することができ、客観的にみることができた。たいへん良い経験となった。

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【事業カテゴリ】
1期生ビジネス支援・産業支援地域活性・街づくり

【団体名/事業名】
フードデザイナーズネットワーク

【活動地域】
東京都、福島県、長崎県、長野県、山梨県ほか

【ウェブサイト】
http://fooddesigners.net/

【プロフィール】
1980年千葉県生まれ。
筑波大学、東京藝術大学大学院先端芸術表現専攻を経て、NPOに勤務。
埼玉県内のメディアセンターにおいて、メディアリテラシーのワークショップ等を企画運営しながら、学生時代より同級生と起業していたフードデザインの活動を継続、週末起業をする。
2008年より公共デザインの会社内でNEXT KITCHENの活動を開始。美術館や博物館で食を使ったコミュニケーションデザインや出張料理、ワークショップなどを行う。
2009年10月より独立。
調理専門学校や美術大学の講師を講師も務める。慶應義塾大学SFC研究所上席研究員(訪問)

【影響を受けたもの】
ドキュメンタリー/人間は何を食べてきたか、ようこそ先輩、タイマグラばあちゃん
人/川俣正、フェラン・アドリア、これまで出会ったすべての人

【座右の銘】

【オフの過ごし方】
旅行、映画