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よき支援者を育て、自閉症がある子どもたちの未来をつくる事業。

竹内 弓乃 /  Yuno Takeuchi ( 第1期 )
ADDS-Advanced Developmental Disorders Support-  

事業概要

自閉症は、幼少期に集中的に支援に支援を行うことで、症状の改善が可能であることが、複数の研究により明らかにされてきた。カナダやアメリカの一部の州では、自閉症の早期集中療育が、公費負担で受けられるところもあり、海外では自閉症への早期集中療育は、自閉症支援モデルのスタンダードとなりつつある。しかし日本では、支援に関する情報の不足から、たくさんの子どもたちの幼少期という大切な時間が失われている。また、運良く情報にたどりついても、経済的な支援や専門家の不足により支援に高額な費用負担が必要となり、限られた家庭しか享受できないのが現状である。

ADDSは、「全ての自閉症児が保護者の主体的な子育てにより、可能性を最大限に発揮できる社会」の実現を目指し、子どもを直接支援するのではなく、自閉症児に関わる人々を支援者に変える学びを提供する。それにより、持続的に人材が育ち、子ども達へと還元されていく生態系の構築を目指す。

主な事業は保護者をよき支援者にする「保護者トレーニング事業」と、学生・社会人をよき支援者にする「学生セラピスト養成・紹介事業」である。これらの事業により、人材不足を解決し、かつ保護者の経済的な負担を減らす事が出来る。さらに、学生という若い人材が、自閉症に対する理解と支援に関する知識や経験を持って社会に出て行くことで、未来の社会におけるよき支援者となりうる。このモデルに加え、支援成果を個人内、社会制度内の変化に基づいて戦略的に発信していくことで、他団体や行政の模倣を促していくことも重要な目標である。

 

事業を始めたきっかけ

大学1年次に自閉症があるお子さんとそのお母様に出会い、自閉症の家庭での早期集中療育のお手伝いをする学生セラピストのアルバイトをすることとなった。そのお子さんは、アメリカで自閉症の診断を受け、早期療育を受けていた経緯があり、帰国後もお母様がとても熱心に療育に取り組んでいた。私は「自閉症」という言葉も知らないような学生だったが、その障がいの特徴について、療育の意味や細かい手続きについて、一からそのお母様に教えて頂き、自閉症と早期集中療育の重要性について現場で学ぶ機会を得た。目の前で子どもの変化が見られる経験が楽しく、受け持つ家庭数を増やしていった。たくさんのお子さんやそのご両親と出会う中で、欧米では一般的となっている、科学的に効果の証明された療育方法が、我が国ではほとんど知られておらず、子どもの将来の可能性を左右する幼少期の大切な時間が失われていくことに焦りと憤りを感じ、本事業に取り組むことを決めた。

ひとことメッセージ

自閉症がある男の子とそのお母様に出会ったこと、心理学を専攻して共同代表の熊に出会ったこと、KDDS(慶應発達障害支援会)を設立して良き後輩に出会ったこと、ETIC.に出会って大切な知見を得られたこと、たくさんの不思議なご縁に導かれて、ここまで来られたと思っています。

我が国における自閉症への理解や支援に関する適切な情報の浸透は、海外に比べて立ち後れており、それでも毎年3000人もの自閉症児が生まれてきます。子どもの発達は待ってくれないので、支援の効果が見込める幼少期はどんどん過ぎてゆきます。効果のある支援によって、子どもが他者とコミュニケーションをとる力や、将来の自立の可能性を高めることができるということ、ただ見守ったり、支援を待っているだけでは何も変わらないということ、そして時間は無いということ。この現状を、一人でも多くの人に知ってもらい、一人でも多くの支援者を増やし、一日でも早く「自閉症への早期療育が当たり前の社会」を実現したいと考えています。

実際には、自閉症のお子さんへの早期療育の現場は、お子さんの劇的な成長を目の当たりにできたり、小さな成長も手を取り合って喜べる本当に楽しく充実した場です。セラピストとして家庭療育に携わりたい学生の方、社会人や主婦の方、ご自身がよき療育者となることを目指す保護者の方、一緒に情報発信を担って下さる専門家や企業の方、その他、少しでもご興味を持って下さった方、是非お気軽にご連絡下さい。

 

活動レポート

「ADDS Winter Seminar~自閉症支援者ネットワークをつくる~」盛会となりました!

12月25日(土)に、ADDSの情報発信事業部における初めての大規模なセミナーを開催しました。
対象は、自閉症あるいはその疑いのあるお子さんの保護者の方、教育・医療・福祉・療育関係者の方、自閉症支援に興味のある学生の方とし、「星の国から孫ふたり」の映画上映に加え、医療・家庭療育・教育現場で活躍されている専門家の先生方を講師としてお招きし、講演会を行いました。
クリスマス当日という日取りもあり、集客がかなり不安でしたが、100名を超える参加者の皆様にお越し頂き、会場が一杯になりました!

また、託児サービスのための学生ボランティアは50名も集まり、未来のよき支援者の卵たちがこんなにいるのだと、本当に嬉しい気持ちになりました。

ご参加下さった皆様、お手伝い下さった皆様、本当にありがとうございました!!
来年度も、より充実した内容で第2回セミナーを開催するべく企画を練っております。



---------------------------------------------------------------------------------【2010/12】

【事業カテゴリ】
1期生医療・福祉・健康教育・こどもの健全育成

【団体名/事業名】
ADDS-Advanced Developmental Disorders Support-

【活動地域】
東京・神奈川

【ウェブサイト】
http://www.adds.or.jp/

【ブログ】
http://blog.livedoor.jp/addsblog/

【プロフィール】
大学1年次に自閉症がある子どもとそのお母様に出会い、自閉症と早期集中療育の重要性について現場で学ぶ機会を得た。より専門的に勉強するために、大学2年次より心理学を専攻した。そこで現共同代表の熊と出会い、学生の立場で出来ることを模索するため、2006年春に、「KDDS(慶應発達障害支援会)」を設立した。KDDSでは、学生セラピストの養成や、自閉症があるお子さん向けの集団指導イベントの企画・運営を行い、たくさんのよき後輩を得た。現在ADDSのコアメンバーとして活躍する原や加藤もこのKDDSの時代に得た仲間である。大学院進学後は研究活動と臨床活動の両方に従事し、卒業後の2009年春、より踏み込んだ支援を提供するため、ADDS-Advanced Developmental Disorders Support-を設立した。現在は、療育を継続する上で、保護者の心理的なケアも視野に入れるべく、臨床心理士取得のために大学院の夜間コースにも通いながら、組織の運営を行っている。

【影響を受けたもの】
大学1年のときに出会った、アメリカ帰りの自閉症の男の子とそのお母様。

【座右の銘】
歯を食い縛る

【オフの過ごし方】
家族サービス、演劇鑑賞、ショッピング