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教育格差の是正を目指して、教師派遣事業と学習支援事業を全国で展開しております。

松田 悠介 /  Yusuke Matsuda ( 第1期 )
特定非営利活動法人Teach For Japan  

事業概要

特定非営利活動法人 Teach For Japan は、「ひとりひとりの子どもの可能性が最大限活かされる社会の実現」をミッションとし、教育格差の是正を実現するために教師派遣事業と学習支援事業を全国で展開している団体です。

Teach For Japan のモデルとなっているのが、2010年に全米の文系大学生の就きたい仕事ランキングで一位にもなった、Teach For America です。Teach For Japan は1990年、当時プリンストン大学4年生であったウェンディ・コップにより設立された非営利団体です。教育機会の不平等の是正を目的として、アメリカ国内の再貧困地域の学校等、最もニーズのある現場に、選抜・研修を経た教師を二年間派遣するプログラムを実施しています。

Teach For America をモデルとしたTeach For Japan の教師派遣事業においては、教員免許の有無を問わず、ひろく社会よりプログラム参加者を募集します。複数回にわたってなされる各種選考により選抜の上、既存の教員養成のあり方を刷新する研修およびフィードバック体制によって育成した教師を、教育課題を抱える学校に派遣します。

教師派遣事業に加えて、生活保護受給世帯の児童生徒や、各種の事情により学習遅滞を抱えることとなった児童生徒に対して短期間の支援を行う学習支援事業を実施しています。また、東日本大震災を受け、東京都内応急仮設住宅において同様の事業を実施しております。

Teach For Japan は持続可能な支援モデルを構築するために、毎日プログラム開発に取り組んでおります。従来の学習支援に参加する人材の動機となっている「社会貢献・ボランティア」というコンセプトとともに、参加する人材の「自己成長」の場を提供する事により、継続的にプログラムに参加する人材を確保しております。

【実績】 
※各自治体教育委員会・福祉事務所と連携
2011年  教師派遣事業:2自治体と連携
      学習支援事業:東京・神奈川・大阪・福岡・宮城 10拠点 
      子ども600名 教師210名

 

事業を始めたきっかけ

事業を始めたきっかけとしては、恩師との出会い、体育教師時代に感じた教育現場の課題、Teach For Americaのモデルが持つ社会的インパクトへの感動、の三つを挙げることができます。

中学時代の体育教師との出会いが、わたしの教育に対する問題意識を形作っています。いじめに苦しんでいたわたしを根気づよく励まし、いじめに屈することのない精神力と体力とを育む手助けをしてくれた恩師に出会い、体育教師になりたいとの夢を抱くきっかけとなりました。

体育教師になりたいとの夢は、高校生になっても変わることなく、大学においても教職課程を履修し体育の教員免許を取得しました。わたし個人としては自ら企画した学習教室などの運営を通して指導経験や子供とのコミュニケーションの機会を得るように努めてきたものの、既存の教職課程において実習の機会が決定的に少ないことに強い危機感を覚えました。実際に赴任した後も、業務の煩雑化に伴う多忙のために指導準備のために使える時間は少なく、教育への情熱と、想いを実現することのできない現実に苦しむこととなりました。また、子どもと向き合う事ができておらず、黒板に向かって授業をしている同僚の存在も気になり始めていた頃です。どうすれば学校内で子どもと向き合う事のできる大人を増やして行く事ができるのか、解決策を求めて一度教育の現場を離れ、理想の教育のあり方を問うため、留学を決意しました。

ハーバード大学教育大学院において出会ったのが、Teach For Americaのモデルでした。事業モデルが優秀であるだけではありません。実際の指導に取り組む教師の姿を見て、同様の事業を日本で展開する決意を固めました。どんなに厳しい環境の子どもが目の前にいても、Teach For America の先生は諦めないのです。目の前の子どもと徹底的に向き合い、子どもの可能性を信じ、子どもの半歩先を照らし、子どもたちを導いていっていたのです。修士論文において同モデルの日本における適用の可能性を取り上げました。中学生時代からの問題意識が、アメリカ留学時代に具体的な形となり、現在の活動をはじめることになりました。

ひとことメッセージ

わたしは、Teach For Americaモデルが日本の教育を変えるものである、という強い信念を持ち、活動を続けてまいりました。活動をはじめてから、1年半が経ち、2012年1月を以て、正式にTeach For America の認可を受ける事ができました。志をともにする仲間も徐々に集まる事により、一見「実現できっこない」と思われていたものが、一つずつ現実になっております。

もう責任のなすりつけ合いはやめなければならないと思っております。「教育委員会や学校が閉鎖的だからだめなんだ」「学校の先生がどうしょうもない」「文部科学省どうなってるんだ」「モンスターペアレンツ・・・」「最近の若者は本当に・・・・」 いつも子どもが議論の中心になっておらず、教育に対する問題意識はあるが当事者意識を持っている人も非常に少ないのも問題です。 "Kids can't wait (子どもたちは待つ事はできない)" 今、目の前にいる困難な状況を強いられている子どもたちに対して、自分たちが出来る事を全力かつプロ意識を持ち、取り組んでいきたいと思っております。

Teach For Americaモデルの日本での実現に、課題は少なくありません。教師スタッフとして参加してくださる大学生の方、プロボノとして運営にご協力くださる社会人の方、直接運営には携わっていただけないものの賛助会員として応援してくださる方、多くの方のご支援、ご協力を必要としています。社会が一丸となって教育課題の解決に取り組む文化の創造にご協力ください。

 

活動レポート

現在のところ、活動レポートはありません。

【事業カテゴリ】
1期生地域活性・街づくり教育・こどもの健全育成

【団体名/事業名】
特定非営利活動法人Teach For Japan

【活動地域】
東京・神奈川・大阪・福岡・宮城

【ウェブサイト】
http://teachforjapan.org/

【ブログ】
http://yusukematsuda.blogspot.com/

【プロフィール】
日本大学文理学部体育学科卒業後、体育科教諭として都内の中高一貫校に勤務。体育を英語で教えるSports Englishカリキュラムを立案。部活指導では都大会の予選ですら勝つ事ができなかった陸上部を全国大会に導く。その後、千葉県市川市教育委員会 教育政策課 分析官を経て、2008年9月、ハーバード教育大学院修士課程(教育リーダーシップ専攻)へ進学し、修士号を取得。卒業後、外資系戦略コンサルティングファームPricewaterhouseCoopersにて人材戦略に従事し退職。Learning for All 代表 / Teach For Japanの創設代表者として現在に至る。ISL 第1回公志園 全国大会出場。ETIC 第1期Social Venture Start-up Market スタートアップメンバー。World Economic Forum(世界経済会議) Global Shapers Community 選出

【影響を受けたもの】
原田隆史『カリスマ体育教師の常勝教育』(日経BP社、2003年)、
Freire, Paulo, "Pedagogy of the Oppressed." Continuum, 2000.、
ジョン・デューイ『学校と社会』(岩波書店、1957年)、
Senge, peter, "Schools That Learn." Crown Business, 2000.

【座右の銘】
有言実行

【オフの過ごし方】
運動、料理、掃除、映画鑑賞