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ソーシャル・イノベーションにおける
日本と中国の交流と連携促進事業

朱 惠文 /  Fancy Zhu ( 第1期 )
日中市民社会ネットワーク  

事業概要

日本と中国のNPOとNGO、市民グループ、社会起業家、その他社会的意識の高いメディア人、専門家、学生などの市民同士の間で、架け橋となることを使命としています。

<strong>事業内容(三本柱)</strong>
「交流のプロデュース」
日中の間でワークショップ/セミナー、短期の交流/研修スタディ・プログラムおよび長期のインターンシップを企画・ 実施します。自主交流事業のほかに、依頼を受けて行う受託交流事業と、助成金を申請して行う助成交流事業も行います。

「研究調査のプロデュース」
日本と中国の市民社会に関する専門性と人脈・経験を生かして、互いにとって参考となるケース・スタディを実施し、蓄積していくと共に、相手国の関連分野で事業を展開するニーズのあるNPO/企業/行政/研究機関/個人に対して、コンサルティングサービスを展開します。

「在日中国人フォーラム」
在日中国人留学生のコミュニティづくりと起業支援を行うフォーラムです。日本で就職し、生活していく意欲のある留学生を対象に、就職や起業に必要な 能力トレーニングを実施し、情報交換の場を設けるなどしてサポートしていき、企業に対して優秀な留学生の人材を推薦していきます。同時に、留学生の力を生かしながら、在日中国人コミュニティの中で弱者的立場 にいる人々を支援していきます。

<strong>展開計画(一年目)</strong>
1、日本で実施する5つのタイプのスタディ・ツアーのパッケージ化をはかる。
2、インターンシップは実験的に日本と中国で1回ずつ実施する。
モデル事業のスケールアウト:日本の自然学校のシステムを中国に導入していく事業を企画し、実施の開始を目指す。
3、企業と研究機関向けのコンサルティング事業に備えるために、日中の関連分野の事例報告を集めていき、独自のデータベースを構築していく。
4、留学生フォーラムは年6回程度開催し、留学生の人材を集める。日本エコツーリズムセンターと協働して、留学生向けの、日本の地方で中国人観光客を対象とするための「地域プロデューサー・トレーニングコース」の開発を行う。
5、法人化:特定非営利法人の認証を得る。

 

事業を始めたきっかけ

子供のころ、「人民のため、国のために尽くせ」と教わりました。しかし、いつの間にか、中国の価値観がひっくり返り、すべては「お金のため」となってしまいました。戸惑いつつあったなかで、Mr. Childrenの音楽と出合いました。彼らの世界観に魅せられ、「もっと大きくなれる自分を探す」ために、両親の反対を押し切って日本にやってきました。

アルバイトと勉強で毎日疲労困憊と戦いながら全力で頑張りました。友達が一人もいなかった日本で、「大きくなれる自分」はどこにいるのか、どのようにすればなれるのかは、相談相手もおらず、悩みの末、学業が終わったら帰国しようと考えました。

しかし、そんなある日、指導教授が『中国のNPO』という本を私に紹介し、その著者の一人と知り合うことができました。その方を通して日本の環境NPOとつながりを持つようになり、その環境NPOはさらに北京のNGOを紹介してくれました。私の留学生活はまるで大きな明るい窓が開いたように、カラフルで有意義なものになりました。「人民ではなく人のため、国ではなく社会のため」という生き方は現実のものとなりうること、そこに「大きくなれる自分」がいると気づきました。

2004年に、私はグローバル・リンクス・イニシアティブ(GLI)というNGO団体と出会い、ソーシャルアントレプレナーシップという言葉を初めて知りました。

社会起業家同士の交流と学び合う機会の創出を主要なミッションとするGLIにおいて、私はいくつかのスタディ・ツアーを運営し、つながりを作っていく重要性を強く感じました。それにとどまらず、「知」の共有から、実践に貢献しうる「行動のヒント」を市民社会の実践者たちが得ていくためには、単なる交流の場の提供は不十分だということにも気づきました。一過性のイベント的な交流ではなく、テーマと活動領域に基づいて、継続可能な交流と連携を生み出す仕組みを築き上げ、より多元的にサポートしていく必要があると考えました。さらに、社会全体にインパクトを与えるためには、交流する者の範囲を広げる必要性も感じました。

この新しい事業を通して、仕組み作りの仕事を行い、社会的インパクトを与えていくように努力したいと考えています。

ひとことメッセージ

留学生として来日後、研究の傍ら7年間NPO活動にかかわりました。日中の相互に対する民間感情が悪化の一途をたどる中、市民レベルの交流においてだけ逆に相互理解が深まっていると、経験でわかりました。

国家利益を超えて、共通の社会問題に取り込む人たちが交流・連携し、一緒により良い社会を目指して協力し合うことこそが、理解と信頼、そして真の友好を生み出します。

日本と中国の両方において、社会問題に取り組み市民の営みについて知識と経験とネットワークを持っている人はそうはいません。私たちはそれらを生かして、双方を結びつける事業を起こそうとしています。

日中双方のソーシャル・イノベーション分野のエンパワーメントと、「個人的に知り合う」「共に社会問題に立ち向かう」ことによる連帯感に基づく新しい日中関係に対して、共感をもってくださる仲間を探しています。ぜひご一緒に連携できる事業を考えましょう。

 

活動レポート

現在のところ、活動レポートはありません。

【事業カテゴリ】
1期生ビジネス支援・産業支援国際協力・国際交流

【団体名/事業名】
日中市民社会ネットワーク

【活動地域】
東京、上海

【ウェブサイト】
http://csnet.asia/

【プロフィール】
大学卒業後、China Europe International Business School(CEIBS)に就職、交換留学プログラムや学術交流活動の運営を担当。2001年に来日。2002年~2010年、国際基督教大学(ICU)行政学研究科の修士・博士課程に在学。2003~2005年、ボランティアとしてNPO東アジア環境情報発伝所の活動に参加、情報発信や日中韓環境会議の通訳・運営に参加。2005年に、Global Links Initiative(GLI)に参加、2009年まで、GLI東京事務所のスタッフとして社会的企業分野の日中、中英交流プログラムの運営に参加。2010年、仲間と「日中市民社会ネットワーク」を立ち上げ、事務局長に就任。日本と中国のNPOや社会的企業の交流と連携をさらに深めるために、新しい事業を始めた。

【影響を受けたもの】
Mr. Childrenの「終わりなき旅」、谷川俊太郎の「さようなら」

【座右の銘】
寵辱驚かず、閒かに庭前の花開き花落つるを看る。去留意なく、そぞろに天外の雲巻き雲舒ぶるに随う

【オフの過ごし方】
猫観察、雲の写真撮影、マンガ三昧、バイオリン稽古