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エチオピアから発信する、エシカル ハイファッション ブランド

鮫島 弘子 /  Hiroko Samejima ( 第1期 )
Ethiopia Leather Project (仮)  

事業概要

たくさんのパワーを秘めながらも厳しい貧困にあえぐ、世界最貧国のエチオピアと経済発展を遂げながらもどこか閉塞感の漂う日本。この2国間をビジネスでつなぎ、生きる喜びや未来への希望を持てる社会へ導くため、ハイファッションブランドを設立します。  

東アフリカに位置するエチオピアは、世界最貧国。そんなエチオピアでも大きな可能性をもっている産業があります。皮革産業です。エチオピアはアフリカで1番、世界でも8,9番目に家畜を保有している国。しかも、エチオピアの羊から採れる皮は世界最高レベルの品質であると言われています。

そんな資源があるにも関わらず、現在皮にされているのはエチオピアで飼われている羊の3割のみで、残りは破棄されています。さらに生産されている皮の9割が、付加価値の低い原皮としての輸出に留まっていることから、国際価格に左右され、不安定な状況にさらされている現状があります。また、エチオピアは干ばつや紛争などネガティブなイメージが強いこともマイナスポイントとなっています。

そこで、Ethiopia Leather Projectでは、日本で企画したデザインを現地で最終過程まで製造、輸出販売を行うことで、これらの問題を解決し、現状の貧困サイクルを自立サイクルへ転換させることを目指しています。

一方の日本。戦後続いてきた西洋式の価値観や消費社会の構造だけでは立ち行かなくなってきており、次のステージを迎えようとしています。次のステージの価値観、それは表層ではなく本質を追究する姿勢ではないかとEthiopia Leather Projectは考えています。

消費行動でいうなら、他人の目を意識した購買や大量消費ではなく自分が心からよいと思うもの(ex:素材の良さ、伝統工芸のように代々継承されてきた技術、クリエイティビティの高いデザインのみならず社会的に配慮された製作過程など)を選ぶということ。そこで、そのような製品を作るインフラをクリエイターに、プロダクトを消費者へ提供することで、日本を活性化させたいと考えています。

 

事業を始めたきっかけ

日本のメーカーでデザイナーとして働いていた私が、会社を辞め、青年海外協力隊として初めてエチオピアへ訪れたのは2002年のことでした。といっても当時はまだそれほど途上国開発や貧困問題に深い知識があったわけではありません。

突然目の前で繰り広げられた、目を覆いたくなるような貧困の現実に衝撃を受けました。

それは、旅好きの私がそれまで訪れた他のアフリカ、中近東、アジア、南米等のどの途上国とも比較にならないほど悲惨ものでした。けれど現地の人と協働で開催したファッションショーや交流イベントといったプロジェクトに携る内に、そんなエチオピアにも、熱い情熱を持って仕事に取り組む人たちや素敵な素材やデザイン等、たくさんの可能性が秘められていることに気がつきました。

その後、ガーナへの短期派遣を経て帰国。早速、エチオピアで知り合った友人と、エチオピア発ブランドの企画を練ったのですが、継続的に収益を出すビジネスモデルを作ることができず、断念しました。まずは自分のビジネススキルを上げなければと、グローバルに展開しているトップブランドに就職。ブランドがその地位を維持するためにどのようなことをしているのか、今まで身を置いていた現場より少しだけ風上に立ち、見ることができました。

学ぶことは多かった一方で、日本は戦後ずっと欧米式の価値観やシステムを模倣し、経済発展してきたけれど、それだけでは立ち行かなくなってきているということも肌で感じるようになりました。これまでとは違う、新しい価値観が必要だ、エチオピアの貧困問題のためだけではなく、日本に新風を吹き込むためにもエチオピア発のエシカルブランドを立ち上げたい、そんな思いが日に日に強くなりました。

そんなふうにしている間にもアフリカの旱魃や政情不安などを伝えるニュースは流れ、耳にするたびに胸が痛みました。ビジネススキルはまだまだ十分ではないけれど、代わりに同じ想いを持つ仲間をみつけました。今の私にできることを、今はじめよう、そんな気持ちで、 Ethiopia Leather Projectを立ち上げる決意をしました。

ひとことメッセージ

クリエイションは好きだけれど、既存の物作りのシステムに疑問を感じていて、エシカルな製造フローを経験してみたいというデザイナー、パタンナーの方、財務や法務や貿易実務に詳しい方、エチオピアが大好きだという方、その他、共感してくださり、仲間になりたいと思ってくださるかたがいらしたらぜひご連絡ください。

 

活動レポート

エチオピアからの皮革サンプルが大幅に遅延してしまったため、
デザイン、プロトタイプ作成など予定していた国内での作業がすべて遅れてしまいました。

エチオピアにはDHLもfedexもダイレクトオフィスもありません。
エージェントを通して輸送してもらうのですが、残念ながらその信頼性は極めて低いです。
今回の件も、問い合わせたときには「すでに送った」との回答だったのですが、
結局、エチオピアのfedex代理店に放置されていたことが判明しました。

どんなによいものをがんばって作っても、
モノが届かなければ水の泡。
なんとかコントロールしなければと思うのですが
簡単にはいかないのがエチオピア。

今月でETIC,SVMは卒業となりますが、
苦難はまだまだ続きそうです。

どうぞ暖かい応援を今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

---------------------------------------------------------------------------------【2011/9】

今月は、エチオピアンシープスキンを使ったワークショップを実施しました。
50名分の型紙製作、革の裁断、道具の準備など、直前までおおわらわでしたが
多くの方にご参加いただき、その素材の魅力をお伝えすることができました。
ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。

---------------------------------------------------------------------------------【2011/8】

今月は、エチオピアへ出張にいきました。

アフリカというと暑いというイメージをお持ちの方が多いと思いますが、
今の時期のエチオピアは雨期のまっただ中で、
ダウンをきて、毎日凍えそうになりながら仕事をしていました。

今回は製作面はもちろん、現地での体制や輸送などについて大幅に前進することができました。
また、新たなスタッフを雇用することができました。

---------------------------------------------------------------------------------【2011/7】

今月はデザインがほぼファイナライズし、試作開始へ取り組みはじめることができました。やはり形が見えてくると楽しいしうれしいです。はやく皆さんにもおみせしたいと思います。

---------------------------------------------------------------------------------【2011/6】

【事業カテゴリ】
1期生国際協力・国際交流文化・伝統・芸術・学術

【団体名/事業名】
Ethiopia Leather Project (仮)

【活動地域】
日本、エチオピア

【プロフィール】
国内メーカーのデザイナーを経てアフリカへ。エチオピアで現地デザイナーと協働でファッションショーを開催したり、ガーナで職業訓練校の先生・生徒たちと、地産ビーズのアクセサリーを扱うフェアトレード プロジェクトを立ち上げたり。05年に帰国し、現在は仏系ラグジュアリー ブランドのマーケティング部にてクリエイティブを担当する傍ら、起業準備中。

【影響を受けたもの】
子供の頃、祖母からよく聞かされた昔の日本の姿や魂や精神世界の話。
旅先で出会ったもの、ひと、こと。

【座右の銘】
「夢を追うリスクより、追わないリスクの方が大きい。人生とは自分よりも大きなものを追い求めること。そこに自由がある。/ ジャクリーン ノヴォグラッツ」座右の銘ではないけれど、時々思い出す言葉。

【オフの過ごし方】
旅が好きです。