クローゼットに1着、日本の伝統を受け継ぐ服を
黒田 幸 /
Yuki Kuroda
( 第3期 )
KARAFURU(仮)

事業概要
連綿と受け継がれてきた日本の伝統文化である「歌舞伎」や「能楽」は、
時代時代の優れた技術の結集である「手仕事のものづくり“ステージクラフト”」によって、支えられています。
しかし、その技術のなかには衰退の危機に直面しているものが多くあります。
この貴重な技術を未来に伝えるため、卓越した技術やそれに裏打ちされた素材を使って商品開発をおこないいま危機に瀕しているこれらの失われた技術の復活や支援、一般の人びとへの普及活動を行いたいと考えています。
魅力的な個々の商品をつくることに加え、エシカルな生産・販売システムを構築することで
私たちのライフスタイルのなかに伝統の手仕事が自然と息づいている世界を作ります。
“モノ”はたくさんいらない、大事な“もの”を少しだけ。
日本は、目新しいモノや流行のモノ、売り手から宣伝されたモノの価値をそのまま受け入れるのではなく自らの価値観で自分に必要なものを選びとることができる社会になりつつあります。このような成熟しつつある社会にふさわしい“もの”とそれを支える“ものづくり”が当たり前に存在する、そんな環境を日本中につくります。
クローゼットのなかに1着、伝統文化を受け継ぐ服を持てる環境です。
事業を始めたきっかけ
映画・歌舞伎の興行会社で新規事業開発を行っていたころ、新規事業の一環として歌舞伎に関する商品やメディアを立ち上げるにあたりたくさんの職人さんを取材しました。誇りを持ってものをつくる人の言葉は尊く、伝統を重んじながらも時代に合ったものづくりに取り組む職人さんの姿に感銘を受けることが多々ありました。
しかし、「もうこれをつくれる職人はいない」「素材がないから、もうつくれない」「後継者がなかなか見つからない」といった言葉をどの現場でも耳にすることになり、貴重な文化の喪失に対する危機感を強めることになったのです。新規事業の一環で何かできないか?と歌舞伎のエッセンスを詰め込んだブランドの立ち上げなどを企画しましたが、私が勤務していた会社は製造・小売を行っていない会社のため実現は難しく、忸怩たる思いでした。
そうした状況でしたが、後に、以下のような新しい発想に触れる機会を得て米国ではファッションで社会貢献をするといった動きが活発化していることを知りました。普段の生活行動のなかで社会貢献ができるエシカルブランドの取組みに強く共感し、米国人の友人らとともに米国エシカルブランドの日本展開を始めることを決意しました。
直接ファッション業界に身を置いたことのない3人で始めたビジネスでしたが、消費者の目、というよりも消費者に提案するリテイラーやメーカーの目に留まるのは早く、展開1年目で大手メーカーやリテイラー、世界的なラグジュアリーブランドと取引ができました。ファッション業界に身を置くことで、ファッションを取り巻く国内外の消費者の意識が確実に変わりつつあることを肌で感じることができました。チャリティー先進国で成功を収めるスキームで、上記のようなエシカルブランドの先駆者たちとともに日本での展開に携われていることは私にとって貴重な経験になっています。
私はこのファッションで社会貢献するという新しい発想のスキームを更に発展させて、日本の伝統文化を守り楽しむことのできるブランドを作りたい、と考え起業を決意しました。
ひとことメッセージ
伝統芸能のステージクラフトのクオリティの高さ、特に繊細さや艶やかさには目を見張るものがあります。大量生産された商品を見なれた私たちにはすごく新鮮に写るはずです。
私がこのプロジェクトで実現したいのは、伝統芸能のステージクラフトを受け継ぐことはもちろんのこと、その素晴らしい技術を私たち日本人が存分に楽しむことのできる環境をつくりあげることです。
大量にプリントされた服ではなく職人が丁寧に染め上げたドレス、化繊でつくられた飾り物ではなくひと針ひと針職人が刺繍をしたコサージュ。いつの間にか乖離してしまった職人と私たち消費者の距離を縮めることで、そんな素敵なものたちが身近にある環境ができてきます。
魅力ある商品づくりや販売する仕組みなど、多くの仲間と考えていければと思っています。
アイデアのある方、ぜひぜひご一報を。仲間になってください。
活動レポート
現在のところ、活動レポートはありません。
【事業カテゴリ】
3期生/ライフスタイル・食/文化・伝統・芸術・学術
【団体名/事業名】
KARAFURU(仮)
【活動地域】
東京・京都・NY
【プロフィール】
熊本県生まれ。大学を卒業後、出版社に勤務。編集者としてモノ系情報雑誌の編集に携わる。その後、2004年~2006年単身で渡伊。フリーの編集者として、現地の日本語メディアや日本のファッション誌の編集などを行う。イタリア人と生活を共にすることで文化を守ることの大切さ、そして日本文化がいかに素晴らしいか!ということに気付く。帰国後、映画や歌舞伎の興行を行う老舗エンタメ会社に勤務。日本の伝統文化である歌舞伎を守り発展させるべくWEBサイトやフリーベーパーなどのメディアの開発を中心に商品の企画なども行う。もっと本格的かつ自由にエシカル事業に従事したい気持ちが芽生え、ファッションで社会貢献を行うアパレル会社を3人で設立。米国の代表的なエシカルブランドの日本展開を行う。その傍ら、ファッションで日本の文化・伝統工芸の素晴らしさを広く伝え守っていく方法を模索中。
【影響を受けたもの】
ココ・シャネル、オードリー・ヘップバーン、谷崎潤一郎、泉鏡花、歌舞伎、中学生時代の部活動、大学生活、体育学校
【座右の銘】
Going My Way.
【オフの過ごし方】
スイムトレーニング、ランニング、観劇、寝る