>>スタートアップメンバー一覧に戻る

「つくりたい」という想いをカタチに

渡辺 ゆうか /  Yuuka Watanabe ( 第3期 )
FabLabKamakura,LLC  

事業概要

ソーシャルメディアの発達により「つながる」ことが当たり前になった現代だからこそ、「つくる」ことでつながる新たなネットワークを構築していく。大量生産、大量消費社会とは違った手法で、生産者のニーズに合わせたものづくりシステムを促進していく。
【何かが欲しいときに、自分でつくるという選択肢を持てる環境を整備していく】
◉第1フェーズ
FabLabと呼ばれるデジタル制御された機械を集めた工房で一体何がつくれるのかをWEBで提示し、データや作り方を公開し事前にシュミレーションしてもらう
◉第2フェーズ
「つくりたい」と思った人に対して、公開されたプロダクトを実際にFabLabでつくってみるワークショップを開催。追体験を通じて学びや苦手意識の低下、興味の深堀やスキルアップを計る
◉第3フェーズ
ひとりひとりの意識やスキル向上プログラムを提供。フィードバックを反映させWEB環境の充実化
◉第4フェーズ
使い手と生産者が一緒になる「ものづくり」を通じて環境や社会システムの再編成を計る。 つくり手の増加により、素材が生産、製造、消費の後もまた社会システムの中で再循環するような大きな枠組もふくめたトータルデザインを積極的に行なっていく。各県に地域性を活かしたFabLabが立ち上がり、日本全体FabLab化を目指し人材育成などの中心的役割を担っていく。
◉第5フェーズ
世界20ヶ国70ヵ所以上に渡るネットワークを活かし、日本と世界の人材交流を積極的に促進させていく。インターネットが情報のインフラであれば、FabLabはあらゆるジャンルのスキルが集まりプロジェクトが生まれる「ものづくりインフラ」としての地位を確立させる。

 

事業を始めたきっかけ

2010年
『世界を変えるデザイン展』で開催されたセッションにてFabLabJapanFounderである慶応義塾大学田中浩也准教授のプレゼンを聞き活動に参加。その後、「FabLabのコンセプトは、ほぼなんでもつくる」という可能性に対して、ある日「それでは、新しいしごとをつくるれるのでは?」という発言を機に、日本初のFabLab立ち上げメンバーとして加わる。
2011年
FabLabを運用していくための基礎技術を取得するために、慶應義塾大学にて「Intro to FabLab」を受講。6月に鎌倉に設立されたFabLabを運営しながら、試行錯誤を繰り返し、ワークショップを重ね可能性や社会的反響を目の当たりにする日々を今も過ごしています。最新の工作機械が集まる工房という魅力に加え、120年前の酒蔵、それぞれ違った専門領域を持っている人が集まるユニークなコミュニティーの豊かさが人を引きつけてやまないことにあらためて気がつきました。本当の豊かさは、モノだけが与えてくれるものではなく、関わる人と人とが交わった時にどのような豊かな時間を生み出せるのか、そしてその環境をつくる意義を経験を通じて再認識しています。
◉これから
直接的にでも間接的にでも事業に関わる人たち全てが楽しく豊かな時間を過ごせる環境をつくり、創造的なプロジェクトが日々生まれてくる土壌を開拓していくことを目指しています。

ひとことメッセージ

植物を育てるように人を育て環境を整えるには時間がかかります。だからこそ、長期的な視点で本事業を捉えて頂きたい。単に最新の工作機械を扱っている工房ではなく、本当に未来を創るには、ひとり1人の日常に対する意識にきちんと作用する「ものづくり」のあり方を提示していきます。ゆるやかに先端技術と伝統技術、国や職業そして世代などの領域を超えて生まれてくるものを丁寧にすくいあげ、新領域を築いていきくことを目標にしています。インターネットが生活や社会システムを根本的に変えたように、今までにない「ものづくり」のあり方によって変化する時代を一緒につくりましょう!

 

活動レポート

地域を巻き込みながらの「ものづくり」と「まちづくり」: 新しいしごとをつくる

鎌倉八幡宮のすぐ隣にある横浜国立大学教育人間科学部附属鎌倉小学校でワークショップをする機会を得ることができました。自然界にある「クモの巣」の造形を活かしたプログラムを提供したのですが、あらためて教育現場での「ものづくり」の必要性や可能性を感じた瞬間でした。大人の想像力を軽々と飛び越える子供達の創造性に触れられたことの学びの価値は図りしれません。およそ25名の参加者に対応するために、facebook上で企画段階から情報共有し、準備スタッフをコミュニティー内で求めて、当日を迎えるという少し変わった手法を取りました。ワークショップ後に残ったネットワークは、今後もプロジェクトやビジネスへとつながっていくことになります。

3月1日、鎌倉芸術館で開催された細野晴巨さんのLIVEのアイテム開発の企画を、鎌倉の家具屋さんからいただき、出逢いが出逢いを呼び新たなプロジェクトになりました。Student Researcherにも企画から打合せに参加してもらい、一連のプロジェクト体験を共有できたことは何よりも良かったと思っています。こうした「ものづくり」によるプロジェクトが地域内から生まれてくるような機会や場の提供、そこで生まれたアイデアをカタチにしていくディレクション的な役割を担うことももとめられていることを強く感じて、「Fab Director」という新しい職業をつくらせて頂きました。

「ほぼなんでもつくる」のがFabLabの精神です。自分で自分の「しごと」(肩書き)をつくるという精神が広まっていくことを願っています。

-------------------------------------------------------【2012/2】

8月は、毎週鎌倉や都心にてワークショップを開催していました。しかしながら、機材や運搬などの負担が大きいためプランを軌道修正をしました。「つくるひと」を増やすという視点にもう一度立ち返り、半年の活動を経て感じたことは、地域に密着したコミュニティーラボとしての機能を強化していくことでした。そのため、一般公開日を土曜日から金曜日に変更しました。勇気のいる決断だったのですが、その後不思議なことに観光客ではなく、リタイアしたご夫妻やフリーランスのデザイナーやアーティストなど、地域に根付いた方々が訪れはじめています。さらに、滞在型のレジデンス施設が求められ、こうした長期的なプロジェクトをたのしく整備したいと思っていた矢先、古い民家の一室を提供してくださる方が現れました。このような現象自体がとても重要であり、古民家、陶芸教室、和紙、家具職人など年代や専門領域を超えてスキルのある人々と出逢える場所になっています。地域住民が「ものづくり選手」になれるようなプログラムを実施していき、都心と鎌倉を結びつけプロクリエイターの創造性を刺激しながら、彼らの特技を活かして「ものづくり教師」として活動展開できるプログラムを準備をしている。

-------------------------------------------------------【2011/11】

6月に正式にSVM3期生として参加しています。「つくるひと」を増やしていくために、どのようなワークショップを開催していいのかを試行錯誤しています。7月から8月にかけて、小学生、高校生、大学生、大人、プロのクリエイターの方々にワークショップを提供する機会を持つ事ができました。レーザーカッターや3Dプリンタなど、あたらしい技術がもたらすあたらしいつくり方は、「つくる」ことを通じた場の共有が、何よりも大切なのだということを実感しています。6月から理念に共感したインターンを迎え、どのようにこの活動を広げていくかを模索しています。私だけの力ではなく、今の大学生からみたFabLabやそれらを支える人、活動がどのような未来を描いているのかを彼らの言葉で伝えていけることを目指して行なったことです。

●FabLab Kamakura Paper : 蔵 vol.01
http://fablabjapan.org/kamakura/?page_id=1504&preview=true&preview_id=1504&preview


8月までの各トライアルから事業プランやプロジェクトを立ち上げ、事業収益をつくり出していくことが重要な課題です。「つくるひと」になるという自覚をどのように持つ事ができるかをプログラム化するための縮小版として、インターン生に対して講習会を行い彼らからフィードバックをもらい適宜修正、改善を重ね、よりよい事業に向けて動いていきます。

-------------------------------------------------------【2011/8】

【事業カテゴリ】
3期生地域活性・街づくり文化・伝統・芸術・学術

【団体名/事業名】
FabLabKamakura,LLC

【活動地域】
鎌倉、都内

【ウェブサイト】
http://fablabjapan.org/kamakura/

【ブログ】
http://moshimotion.wordpress.com/

【プロフィール】
高校卒業後渡米、卒業後に帰国。02年多摩美術大学環境デザイン学科入学。妻有アートトリエンナーレ2003、拡張版東京藝術大学曽我部ゼミメンバーとして参加以降、美術、建築、街、日常を横断する制作、プロジェクトに携わる。都市計画事務所勤務を経てデザイン事務所修行中に交通事故に遭遇し、長期治療リハビリ生活へ。デザインそのものが持つ力や意味をもう一度考えはじまる。2010年、「つくる」ことの可能性を働き方やライフスタイル全体の環境システムから考えはじめた時期に、『世界を変えるデザイン展』にてFabLabJapanの活動を知り参加する。2011年、FabLabKamakuraの立ち上げコアメンバーとして関わり、慶応義塾大学SFC研究所訪問研究員としてFabLabとまちづくりの実践しながら研究している。21世型のコミュニティーやクリエイターの新しい社会的役割を開拓するためFabLabKamakura,LLCを立ち上げ事業の本格的な始動に向けて邁進中。

【影響を受けたもの】
今まで出逢ったヒト、モノ、コト

【座右の銘】
前向き

【オフの過ごし方】
散歩 / ストレッチ / クラシックバレイ