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地域資源を活用!地域イノベーターを生み出すまちづくり

市来 広一郎 /  Kouichiro Ichiki ( 第1期 )
NPO法人 atamista   代表理事

事業概要

■事業のミッション
100年後も豊かな暮らしができるまちをつくる

■事業のビジョン
そのために地域から人が育ち、地域の課題を解決するための事業や活動が次々と生まれ育つような、地域づくりの生態系を生み出すことを目指しています。

■事業内容
【家守】事業
人口減少、高齢化が進む熱海において、歩いて暮らせる生活が楽しめるコミュニティを創出するとともに、そこで、仕事が生まれ育つ環境をつくる。
熱海市内にある膨大な遊休不動産ストックを活用し、遊休不動産のオーナーや商店街を巻き込みながら、若い世代や高齢者に対して、生活コストがやすく歩いて暮らせる環境を提供する。
具体的には、滞在型の宿泊施設の提供や、古い物件等の不動産仲介を行ったり、地域体験プログラム等のソフトサービスを提供するとともに、店舗の誘致や、店舗等の創業支援などを行う。

【エリアファシリティマネジメント】事業
エリアで複数の不動産オーナーとビルのファシリティコストを削減し、まちづくりの投資原資を生み出す

【オンたま(熱海温泉玉手箱)】事業
約1カ月間のイベント期間中に数十の事業者が主催する数十の体験プログラムを企画支援・コーディネートし、住民・別荘住民・観光客に提供。

【調査】事業
熱海の若者実態白書、起業家白書等を発行し、その実態と根本原因を明らかにする


■展開計画
・遊休不動産の自主再生による再生のモデルづくり
・熱海の中心市街地の遊休不動産の複数同時一体再生と、各スモールエリアのやる気のある地域人財の巻き込み
・公園・道路等のパブリックスペースの再生への取り組み

 

事業を始めたきっかけ

生まれ育った地元熱海。1990年代半ば、私が中学・高校生の頃にどんどん活気を失っていきました。旅館がつぶれた、お店がつぶれたなどという話ばかりを聞くようになりました。

2000年頃になると、海岸沿いの旅館・ホテル街はもぬけの殻となった真っ暗なホテルと、瓦礫の山となったホテルの跡地となっていました。熱海のホテル・旅館や保養所は次々と潰れ、まちはゴーストタウンのようでした。私の実家であった保養所もなくなりました。それをみていて、「このまちを何とかしたい」そう思いました。

しかし、大学時代、東京に出てみると熱海はとても知名度が高く、そして、素晴らしい環境を持っていることに気づきました。また、その後、バックパックを背負って世界30ヶ国近くを旅してきた中でも熱海が潜在的に持っている環境、文化的な資産は世界的にも誇れるものなのではないかと感じるように。

潜在的なよさは持っているものの、それが全然生かされていない、自分にもできることはあるのではないかと思い、いつか熱海に帰って地域づくりに取り組みたいと思っていました。
そして、「チャレンジするなら20代のうち」と思い、ビジネスマン生活を辞め、熱海へ帰りました。

熱海だけでなく、多くの地域が疲弊しています。経済が落ち込み、仕事がなく、地域コミュニティが衰退し地域の文化も存続ができなくなりつつあります。一方で都会で暮らす人々も孤独感や閉塞感とストレスに覆われています。

私たちが目指すのは、地方でこそ豊かな暮らしができる社会です。
そして、都市から地方に人が流れ、地方でこそ生活をしたいと望み、実際に暮らすことができる社会です。
自分たちのまちを自分たちがつくり、支え、個性ある地方が競いあい、より魅力と個性を磨いていけるような社会をつくっていきたいと思っています。

ひとことメッセージ

これまでの3年間、地域づくりに取り組んできて地域の中には可能性の芽があることを実感しています。
• 行政に頼れないなら自分たちでなんとかしようと動き出す人たち
• 地域の中で結果を出している経営者
• 自由な時間を社会のために役立てたいと行動するシニア世代
• いつか故郷や地方の町で起業や社会貢献をしたいという若者たち
私たちはこのような人たちが増え、一人ひとりが自立し、社会の問題解決をし、社会をつくり、社会を変えていく存在になっていくことを望んでいます。今は小さなこの芽が大きく育っていくことを望んでいるのです。つまり、自ら問題に気づき行動する自立した人が増え、地域の中で結果を出す経営者が増え、生きがいを持って暮らすシニア世代が増え、リスクをとってチャレンジする若者が増えていくことを。

そして私たちはこのように社会を変えていくことが、たった一人の想いや志から始まることを見てきました。一人の志が行動に代わり、行動が次の行動を呼び、そしてそれが周囲をも巻き込んでゆくのです。ただ、たった一人だけでは何もできません。たった一人を支えるサポート、コミュニティがあり、そして、一緒にチャレンジする仲間がいることで、想いが行動の連鎖を生んでいくのです。私たちは個人がビジョンと健全な野心を持ち、行動していける、そんな生態系づくりを行っていきたいと思っています。そんな社会づくりにぜひ一緒に取り組みましょう。

 

活動レポート

今月は9月12日に、ビルオーナーの方々との会議を開催し、エリアファシリティマネジメントおよび家守事業を行っていく新会社設立とその事業内容について説明をすると共に、エリアファシリティマネジメントにおける各ビルオーナーとの事業について合意を得た。
エリアイノベーションアライアンスの木下斉氏にも講演をいただき、他の地域のまちづくりの事例についてもお話いただいた。

新会社設立も行い、今後、遊休不動産も利用する物件がほぼ確定。
遊休不動産を再生・活用しての事業開始に向けての準備を進めている。

------------------------------------------------------------------------------------【2011/9】

家守事業の盛岡視察を実施。
実際の現場を見ることで、イメージがより明確になった。
------------------------------------------------------------------------------------【2011/6】

エリアイノベーター養成ブートキャンプに参加しました。
清水義次さん、岡崎正信さん、木下斉さんに、家守事業、そしてエリアファシリティマネジメントについて、スタッフと共に、学び、家守事業の今後の方向性について、より具体的なイメージを持てるようになりました。
------------------------------------------------------------------------------------【2011/5】

【事業カテゴリ】
1期生ライフスタイル・食地域活性・街づくり

【団体名/事業名】
NPO法人 atamista

【活動地域】
静岡県熱海市

【ウェブサイト】
http://atamista.com/

【ブログ】
http://blog.atamista.com/

【プロフィール】
1979年、熱海生まれ熱海育ち。東京都立大学大学院 理学研究科(物理学)修了後、 アジア・ヨーロッパを3カ月、一人で放浪。その後、IBMビジネスコンサルティングサービスに勤務。
2007年に熱海にUターンし、ゼロから地域づくりに取り組み始める。2007年、遊休農地の再生のため農家と共に「チーム里庭」を立上げ、新住民・別荘住民に向けた農業体験を提供開始。2009年より、地域資源を活用した体験交流ツアー、「熱海温泉玉手箱(オンたま)」を熱海市観光協会、熱海市などと協働で開始、プロデュース。2008年、atamistaを設立し、2010年にNPO法人化。2011年、熱海の中心市街地再生のための民間まちづくり会社、株式会社machimoriを設立し、代表取締役に就任。NPO法人atamista代表理事、一般社団法人ジャパンオンパク公認トレーナー、NPO法人エイミック副理事長/温シェルジェ。

【影響を受けたもの】
熱海、熱海こがし祭り、インド、イタリアの海岸都市、旅、片岡勝さん、清水義次さんと現代版家守、木下斉さん、大前研一さん、一新塾、オンパク、宮台真司さん、ローマ人の物語(本)、サッカー、Jリーグ百年構想、物理、市来四郎(先祖:幕末の薩摩藩士)

【座右の銘】
carpe diem (いまを生きる)、鮮明に生きる

【オフの過ごし方】
散歩・まちあるき、旅、喫茶店めぐり、読書、映画を観ること、音楽を聴くこと、写真を撮ること、美術館めぐり、料理、スポーツ